速く走るために必要な二つの能力
速く走るためには大きく二つの能力が必要です。
一つは心肺機能。一般的にマラソンのトレーニングはこの心肺機能を高めるためのもので、肺が効率よく酸素を取り入れ、心臓が酸素とエネルギーを身体中に送り出し、筋肉が効率よくエネルギーと酸素を取り入れて走るエネルギーを作り出します。
練習方法については、マラソン専門の書籍やHPなど多くの資料が出回っていますので、こちらでは割愛します。
ここではもう一つ、実際に身体を動かす筋肉の弾力性(筋力と柔軟性)について解説します。どちらもパフォーマンス向上とコンディショニングに欠かせないものです。
もっと速く走れるのに、もっとたくさん練習したいのに、腰や膝が痛くて断念せざるを得ない、痛み止めを飲みながら走っている、というランナーは実はとても多いと聞きます。
痛みが少しでも軽減すれば、それだけでパフォーマンスの向上につがなることでしょう。
背骨の歪みは神経の伝導異常と関節の痛みを引き起こす
走っているうち次第に膝や股関節が痛くなってくるという場合、原因は背骨を支える筋力がマラソンの練習に耐えられるほどは強くないことにあります。
「痛みの原因は神経が引っ張られること」のページで解説しているように、
背骨が歪むと、背骨から出ている神経の伝導異常が起こり、さらには関節の滑液の出が悪くなり、骨が直接ぶつかるので痛み・炎症が起こります。
何時間もかけて40km以上の距離を走ることは身体にとってはかなりの負担。十分に背骨を支える筋力がないと、練習だけでも疲労の蓄積で背骨を支えられなくなり、次第に歪んでくるのです。
ランナーによく見られる症状も背骨の歪みと関係が
ランナーによく見られる症状には以下のようなものがあります。
- 足底筋膜炎(足底の筋膜に炎症。足裏に強い痛み。足アーチの崩れで起こる障害)
- シンスプリント・脛骨過労性骨膜炎(すねの内側に痛み。脛骨の骨膜が部分的に剥離)
- 腸脛靭帯炎(膝を曲げると外側が痛む。太もも外側の腸脛靭帯に炎症)
- 足炎(膝の内側に痛み。いくつかの筋の付着部である膝の内側、鵞足部に炎症)
- 膝蓋靭帯炎・ジャンパーズニー(膝のお皿とすねの骨をつなぐ靭帯に炎症)
(『ランニングの作法』中野ジェームズ修一著、ソフトバンク新書より)
どの症状も、痛みを生じる筋肉・靭帯同士の間、または筋肉・靭帯と骨の間に炎症が起こり痛みます。そして原因は筋肉や靭帯が「固く」なることだと言われています。
背骨が歪み、神経の伝導異常が起こると、関節の滑液の出も悪くなり、筋肉も固くなります。あなたは筋肉はもちろん、背骨・神経のケアも同時に行なっているでしょうか?
神経の伝導異常はこうしてチェック
神経の伝導異常が起こっているかどうかは、簡単にチェックできます。
by 背骨コンディショニングスタジオ 藤井聖司
モデル:背骨コンディショニング府中スタジオ 加藤紗里
神経の伝導異常が起こると、本来は痛くない部分に痛みを感じます。動画のように、脛の内側を何ヶ所か強く押してみてください。神経のハリがなければ、みかんが潰れるくらい強く押しても痛くないはず。痛みを感じる場合は坐骨神経の続きにある脛骨神経が固く縮まっており、その神経の出処の仙骨・腰椎が歪んでいると考えられます。
また神経が縮まると、その神経の通り道の筋肉も固くなる傾向にあります。
仰向けで膝を伸ばしたまま片足を持ち上げて、90度上がるでしょうか?上がらない場合は太ももの後ろ側の神経・筋肉共に固くなっています。
こうした柔軟性や神経のハリは、背骨の歪みの一つの目安となります。
マラソンで使うのは「遅筋線維」、背骨の歪みを抑えるのは「速筋線維」
筋肉は、大きく2種類に分かれ、同じ筋肉の中にも2種類の筋線維が混在しています。
長距離走のマラソン時に使う筋肉は「遅筋線維」と言い、長時間力を出し続けることが得意な筋肉。脂質や糖質を利用して筋肉を動かすATPを作り出し、その時に酸素を消費します。なのでマラソンを走るとハアハアゼイゼイと息が荒くなり、酸素を必死で身体に取り込もうとするのです。
一方背骨を歪ませないためには、瞬間的に体重以上の大きな負荷が一点に集中しても、正しい位置で骨を支えることができるくらい強い力が出せる「速筋線維」が必要です。
走る動作自体では使われない筋線維ですが、体重の何倍もの負荷が何度も何度も脚や腰にかかり続け、それに耐える筋力がなければ次第に骨が歪んでしまいます。特別なトレーニングをしない限り、走るだけでは使わない筋肉、ましてや日常生活ではほとんど使われないとされる「速筋線維」ですが、実は背骨が歪まないように支えるためには欠かせない筋肉なのです。
筋力が十分にあるのか、簡単にチェック
by 背骨コンディショニングスタジオ 藤井聖司
動画のように床に座った状態から、片足だけで立ち上がれますか?マラソンのような過酷な運動に耐えられるようにするには、最低でもこの位の筋力はつけておきたいところです。
一度に強い力を出すことができる「速筋線維」は走るだけでは決してつけることはできません。しっかりとした筋力トレーニングが必要です。
しかし筋力トレーニングは強い負荷をかける分だけ、やり方を間違えるとケガをしたり関節を痛めることもあります。
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- 場所:北九州パレス(〒803‐0835北九州市小倉北区井堀5丁目1‐3)